Vol.191 湘南慶育病院が開院し、1年が経ちました。

この湘南慶育病院のある藤沢市では、医師会に入れていただくのがなかなか大変だと聞いています。
医師会に入会できれば、地域の病院や診療所と密に連携し、さらに地域に貢献して行くことができるようになりますから、なんとか入会させていただければと考えています。

当院地域の藤沢市医師会はとてもレベルが高く、診療内容や病診連携をどうとっているかというのを厳しい目でジャッジし、その上で入会を許可するという方針を取られています。ですから、その基準に見合うよう現在は一生懸命に努力しているところです。先ほど申し上げた通り当院はまだ発展途上の状況ですので、100%うまくいっているかというと、そうではない部分もあると思いますが、我々としては精一杯の努力をして参りたいと考えています。幸いにも本年度中に入会するためのヒアリングを受けさせていただくことになりました。とにかく地域の医療に溶け込んでいきたいという私たちの考えをお伝えしたいと思います。

鈴木先生は、これまで慢性期医療にはあまり馴染みがなかったということでしたが、
湘南慶育病院でどっぷりと慢性期医療に浸かられていかがですか?

私はこれまで、大学の教職、あるいは急性期医療に携わってきましたので、患者さんが受診されたときにいかにして正確な診断をつけて、正確な治療を施し、いい状態にして次の病院に引き継いでいただくことを優先的に考えてきました。こちらに赴任してからは、患者さんを送ってもらう立場になり、コペルニクス的転回と言いますか、これまでとは違った発想を持たなければならないと感じました。特に回復期リハビリテーション病棟での社会復帰に向けた治療の他、当院には療養病棟もありますから、社会復帰が難しい方へのケアがどうあるべきかということをただ今勉強中です。この領域で先を走っていらっしゃるグループ病院の竹川病院で勉強させていただく機会をいただいたり、講演を聞きに行ったりして患者さんお一人お一人求めていることに多様性があるということを改めて痛感しました。グループの研修会でもそのようなテーマをよく取り上げていただいていますので、私にとって良い刺激になっています。

現在、湘南慶育病院は急性期病院で活躍してきたドクターが多くいます。私自身がそうであるように、急性期とは違った目線で患者さんを診なくてはいけないという、急性期と慢性期のギャップを初めは感じたのではないかと思います。そのギャップを一緒に埋めながら、理想的な回復期・慢性期の病棟を運営するために努力したいと思っています。
また終末期医療に関しては、これまでさらっとしか経験されてこなかった先生が多かったと思うのですが、実際にここでは担当の患者さんの終末期に直面する場面も多くなってきており、各々の医師にとって「患者さんの終末期に、どのような姿勢で臨むべきか」ということを深く考える機会になってきています。将来的には、医学生に向けた終末期医療の研修も当院でできるのではないかと考えています。