Vol.198 朝日新聞の終末期医療に関わる記事を読んで

2018年の医師研修会では箕岡医院 院長 で日本臨床倫理学会 理事である箕岡真子先生に『「終末期医療の倫理」の基礎と「DNARの倫理」〜アドバンスケアプランニングの重要性〜』について講演を賜りましたが、その中でも 「患者本人の意思が何よりも重要であり、また患者から指名された代理判断者(家族や親しい知人)が終末期医療について判断するような場面になっても、自らの利益ではなく“患者が望むであろうこと”に可能な限り近づけるように話し合っていくことが大切である。」 ということをお話しになっていました。

健育会グループ 平成30年度 医師研修会

また健育会グループの副理事長 岩尾総一郎先生が理事を務められている日本尊厳死協会でも、「平穏死」「自然死」を望む方々が、自分の意思を元気なうちに記しておく「リビングウイル」を提唱されており、健育会グループでは病院・施設に入られる高齢の患者さん・ご利用者にできる限りご本人のリビングウィルを確認するように取り組んでいます。また終末期医療について様々な職種と考えるために専門家をお招きしご講演をいただくなど、研修を積極的に行っています。

私の思い描く健育会グループの理想の姿は、入院する患者さん・ご利用者ご本人から、そしてご家族から「健育会グループの病院で看取ってもらいたい」「健育会グループの主治医にお任せします」と言っていただけるような病院・施設になることです。なぜなら、それが究極の信頼関係が築けた証だと考えているからです。そのためには、患者さん・ご利用者、ご家族と日常の中で密にコミュニケーションをとり、人生の最終段階にある不安や苦痛に寄り添っていくことが大切です。そして、そのリーダーシップは医療チームのリーダーである医師がとるべきであると、私は考えています。

人間はいつか死を迎えます。その時をどのような時間にしたいのか、一人一人が考え選択する時代が来ています。健育会グループでは、患者さん・ご利用者がそれぞれのより良いその時を選択ができるよう、力を尽くしていきたいと考えています。