Vol.199 第13回 看護・リハビリテーション研究会

次に、東京医療センター総合内科/倫理サポートチーム 尾藤誠司先生をお招きし、「人生の最終段階における意思決定とその支援」という特別講演を賜りました。

まずはじめにご講演の中で、『「医学的最善」が「患者にとっての最善」ではない』『「医学的に無益」なことが必ずしも「患者にとって無益」とは限らない』と言うお話がありました。それについては正に同感であり、我々医療人にとって終末期医療はますます難しくなっていると思います。患者さんは同じ病気、同じ年齢、同じ性別であっても生きてきた歴史がお一人お一人違うので、それぞれの終末期への価値観も違って当然であると考えています。様々な専門職が話し合いを重ねて患者さんお一人お一人に合った「手作りの医療・介護」をチームで提供することこそが大切なのだと感じました。

また、尾藤先生が所属されている東京医療センターでは、『倫理コンサルテーション』という場が設けられており、倫理的に難しい事例を多職種で話し合っているとのことです。患者さんの思いは複雑なものである以上、医療者も当然悩むものです。その際に助けとなるのがこの倫理コンサルテーションであり、素晴らしい取り組みだと感じました。健育会の病院ではこのような場を正式に取り入れているところはありませんが、悩んだときにチームで話し合いながらしっかりと難しい事例にも対応して欲しいと考えています。その時に大切なのは、「患者さんに理解してもらおうとすること」ではなく、「患者さんを理解しようとすること」とのことです。今回の尾藤先生の講演をしっかりと心に留めて、これから終末期医療に対峙する時に活かして欲しいと思いました。