Vol.212 「第14回TQM活動発表セミナー」が開催されました。

審査結果発表に続き、長谷川先生からセミナー全体を通して、下記のような講評をいただきました。

皆さん痛感していると思いますが、医療は日々変わっています。ケアの質に対する要求水準もどんどん変わっています。健育会グループに限らず、それに対して対応を迫られているというのが現在の状況です。その質の改善活動は現在の医療の中核を成しており、TQM活動は代表的なものだと思います。今回、審査員同士や健育会幹部の方たちとお話しして、「大変発表がうまくなった」という声を聞きました。間違いなくうまくなっています。ただ、世の中の要求水準も上がっており、のんびりしているとたちまち追い付かれてしまします。

TQM活動には、問題解決型と課題達成型の2つの大きな類型があります。どちらを選んでも良いと思います。問題解決型はPDCAの中のPの設定が難しく、課題解決型はCの内容を厳しく問われるというのが一般的な話です。本日の質疑応答を聞いていて面白かったのが、課題解決型を選んだ理由を尋ねる質問や、問題解決型の方が良かったのではという提案があったことです。ものすごくハイレベルな議論で、思わずうれしくなりました。

TQM活動を審査するにあたって最も重視しているポイントは、達成目標をいかに設定するかということです。やはり数値化しなければいけません。そして、それは部門の目標など経営上の意味がある必要があります。患者さんの笑顔を見たいという理由でも構いませんが、それを経営につながる目標に設定できれば、誰もが納得できるはずです。とはいえ、何でも数値化すれば良いというものではなく、事故の発生件数など発生頻度が少ないものは数値化がするのが難しくなります。そのため、数字以外にも押さえる部分を作っておくと、良いのではないでしょうか。TQM活動は業務として行うものなので、目標を達成するかどうかということが決定的に重要です。そこにはこだわりをもっていただきたいと思います。

2つめのポイントは、多職種で活動していることです。医療は、専門職の集まりのため、風通しが悪くなることがあります。TQMが、それぞれの役割を再確認するきっかけになれば良いと思います。抄録を拝見して、1チームに2職種だと少し寂しいと感じます。無理してでも3職種は、参加していただきたいという気持ちがあります。そして3つめは、定着です。組織のノウハウとして標準化し、定着を図る。最後に、発表に当たって聞く人にどんなメッセージを与えたいのかということが分かると良いですね。こうした発表のテクニックに関しては、皆さん素晴らしいです。

石巻健育会病院さんを高く評価した理由の1つは、情報の共有をテーマにしたことです。今回の発表では、施設内の話でしたが、今後はそれをどのような形で地域へ広げ、継続的な計画を担保するのかということにまで焦点を当てたことが良かったと思います。全体的に、聞いていてうれしくなる発表がたくさんありました。毎年このセミナーの審査委員長を務めさせていただくことを、非常に楽しみにしています。来年、より充実した発表が聞けることを期待しています。