Vol.222 新社会人フォローアップ研修を実施しましたた

自分たちの病院の理念をしっかりと理解する

昔は、病院に規制改革は必要ないと言われてきました。しかし、現在は病院も規制改革が行われ、しっかりと利益を出して、社会貢献することを求められるようになっています。それを前提として、良い病院として存在意義を高めていかなければいけません。そのためには、長期的な目標(ビジョン)が必要です。健育会グループ内には多くの病院・施設がありますが、その全てに共通するビジョンは「クライアントの心を豊かにする」ということです。

病気やけがが治った患者さんの心が豊かになるのは当然です。しかし、不幸にして亡くなってしまう患者さんもいます。そのご家族が「健育会の病院・施設で看取ってもらって良かった」というように思っていただけるケアも求められるのです。この半年間、健育会に看てほしいという方が増えており、私は非常に誇らしく感じています。よその病院ではなく、健育会を選んでいただいているのです。私たちには、それに応えてクライアントの心を豊かにする義務があるのです。

そして、私たちのクライアントは、患者さんだけではありません。そのご家族や地域の皆さん、取引業者さん、健育会で働く人達などいろいろといます。その全てのクライアントの心を豊かにすることができて、初めて光り輝く民間病院になることができるのです。そのために健育会グループの各病院・施設は、急性期やリハビリなどそれぞれの役割に応じた理念を掲げており、それに向かって進むことが大切です。この話の全てを覚える必要はありません。ただ、自分が所属する病院が、どういう病院になろうとしているかということは、これから働いていく上で一番大切なことです。ですから、自分たちの病院の理念だけは、覚えてください。

日本で民間病院の重要性は必ず高まる

病院理念を達成するためには、それぞれのクライアントに求められる価値(バリュー)を、提供しなければいけません。それがビジョンにつながり、その先のミッションにつながっていきます。そのために、新入職員の皆さんは、まず質の高いチームワークと一人ひとりのあるべき姿を目指してください。それに加えて、健育会グループで働く約3500人の職員が、今年のスローガンである「We are One Team!」を胸に日々の業務に取り組むことで、ようやく私たちのビジョンを達成できるのです。健育会は、まだまだ大きくなります。しかし、職員が5000人、6000人に増えたとしても、ワンチームということは変わりません。

ここまでお伝えしたのが、健育会のミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)、つまりMVVです。中でもミッションは、経営の基本的な考え方です。企業は何のために存在するのかという問いでもあります。前述したように、利益を追求し、社会に貢献するために存在しているのです。30年前は、病院が赤字になっても、行政が補助金を投入すればよいという考えが一般的でした。そんなことを続けていれば、いずれ病院は潰れてしまうと私は思っていました。医療崩壊を起こさないために、私たちは光り輝く民間病院を目指しているのです。

この民間ということも、キーワードです。現在、アメリカは民間病院と公的資金が投入され貧困層を治療する病院に分かれます。そうなると医師も、二つに分かれます。高給の民間病院で働く腕が良い医師か、とにかく大勢の患者を診たいと考える医師です。私は、どちらが良い、悪いとは言いません。ただ、アメリカの医療の現状はそうなっています。また、ドイツでは、病院の株式会社化が進んでいます。国の医療費が削減されたため、民間病院は経営の効率化を図って株式会社になり、それが大変うまくいっているそうです。

一方、日本では医療は聖域とされ、海外とは異なる道を歩んできました。しかし、医療は聖域ではありません。病院は企業です。患者さんを治療して治療費をいただくのは、サービスを提供して対価をいただくことと同じです。にもかかわらず、なぜ医療だけは、聖域なのでしょうか。もうすぐ日本でも、本当の意味での民間病院が誕生すると確信しており、私は生涯をかけて病院の株式会社化に取り組もうと考えています。