Vol.277 第16回「チーム医療症例検討会」を開催しました

後半の各発表・質疑応答を終え、座長の山﨑康太郎先生より丁寧な講評をいただきました。

継続研究や日々の疑問に基づく研究が多く、共同研究も継続されていて非常に好感を持ちました。一方で厳しいお話も少し。批判的な論理性と統計の感覚は非常に重要で、欠けてしまうと思い込みによる治療を招きかねません。つまり自分の発表に対する反応や疑問をたくさん想定することが大切です。また合同研究会では実践における示唆が要求されます。判断や行動が変わる知見を共有することが学術の意義です。また次の対応を考えることでデータの取り方が変わってきますので経時変化を追ったり、介入量と機能の関係を見たりなどを心がけましょう。
全体に、データを取って違いを見て表面的に言えることを言って終わっているものが目立ちました。予備研究は実を結ばなくてもおかしくありません。これは個別の発表の問題ではなく組織的な問題で、演題選考や予演会の質を高める必要があると感じました。

続いて、健育会の宇都宮啓副理事長より総評を述べていただきました。

興味深い話題が多く非常に面白かったです。昨年と比べて今年は分かりやすい発表が多く、補足も工夫されていて良かったです。仮説や目的を明記した上で評価方法や基準が記されていたのも、基本的ですがとても重要だと思いました。
研究はそれ自体を高度に複雑にしようと思いがちですが、ねりまの「座位での臀部の除圧方法の探索」などは単純な中にも画期的な発見があり、非常に素晴らしかったです。
そのほか、主観的な評価が客観的なものに合致するかという熱川のテーマや、既存のものに対して疑問を持ついわきの研究姿勢もよかったです。花川と竹川の共同研究は継続されて素晴らしいですが、パターン化しないよう別の角度も取り入れてみましょう。いわきの研究は症例が少ないので、他病院と共同して症例を増やすなど細かい分析ができるよう工夫してください。今日の発表をこれで終わりにせず、質問を予測して分析やデータの取得の必要性を考えることで次へ繋がっていきます。今日は非常に活発な議論があり、楽しむことができました。ぜひこうした姿勢で引き続き、疑問を研究に繋げてください。

大変興味深い演題が多く、充実した研究会になったと思います。本日の指摘を受けて、今後はより多角的なテーマ選定やデータ取得、細かい分析を目指した研究を期待しています。1年間、本当にお疲れ様でした。