2017.10.10
後半には宮本顕二先生から「欧米豪の高齢者終末期医療の現状」という演題で、スウェーデン、オーストラリア、オーストリア、オランダ、スペイン、アメリカと6か国の終末期医療を視察した内容や先生のお考えなどのご講演を賜りました。
例えば、スウェーデンでは、胃ろうなどの経管栄養の患者さんはいないそうです。また、オーストラリアにおいても、緩和医療が中心で、「食べるだけ飲めるだけ」で亡くなっているとのことでした。その理由は、高齢者が終末期を迎えると食べられなくなるのは自然な事で、経管栄養や点滴などの人工栄養で延命を図ることは非倫理的であると、国民みんなが認識しているからということで、日本のように医師に法的責任追求が行われることもないそうです。逆に、欧米豪においては人工栄養で延命をそんなことをするのは老人虐待という考え方もあるそうです。
そして、高齢者の終末期医療において必要な視点として以下を挙げておられました。
高齢者の終末期医療に必要な視点
1. 尊厳:人として死ぬ
2. 緩和:穏やかに最期を迎える
3. 倫理:自分が望まないことは相手に行わない
4. 患者の意思尊重
5. 医療費増大を防ぐ
この5つの視点は、健育会グループの医師にもぜひ持って欲しい視点です。先生のお話を伺いながら、まず医師が、これまで常識とされてきた医療の役割を今一度問い直し、高齢者の終末期医療に関して意識改革をしなければならないし、患者さんの人間の尊厳を尊重していくためには自己研鑽を積んでいかねばならないと痛切に思いました。