Vol.300 「健育会グループ第18回看護・リハビリテーション研究会」を開催しました

後半の各発表・質疑応答を終え、座長の叶谷由佳教授(横浜市立大学院 医学研究科看護学専攻長 老年看護学教授)から、各演題についての疑問や改善点など、丁寧な講評をお話し頂きました。

1演題目-研究発表ではDSS、FOISなどの尺度はスペルアウトする、つまり最初に正式な単語を書いてください。尺度の説明も欲しいです。また研究は一貫性が大事です。今後の展望にあった「Transdisciplinary teamアプローチを行う」という記述は唐突に感じましたので、考察と今後の展望をわかりやすく結びつけるようにするとよいです。

2演題目-面白い知見でした。有意差はなくても、患者さんが感じていることはもちろん無視できませんが、看護師さんと患者さんは母数が違うので、人数だけではなく、割合で有意差の有無を示したほうがいいです。患者さんの母数に対して何%の患者さんが騒音と感じてるのか、などです。

3演題目-研究というのは一般化なので、地域包括ケア病棟全体で気を付けるための結論を導くと、他の地域包括ケア病棟でも参考にしやすくなると思います。また今回の対象は、がん患者さんが多いですが、病棟の特徴を考えると、在宅療養で急性増悪する患者さんも引き受けていて偶然がんが多くなったと思いました。一般的な地域包括ケア病棟の患者さんの層がわかるような先行研究を引用すると、説得力がでると思います。

4演題目-20代の看護要員と限定していますが、結果には属性や影響要因が必ずあるため、対象者の情報を与えて結果を読まないと一般化しにくいです。また属性も、職種と割合を示すことで、バイアスも踏まえて結果が考慮できると思います。時間外労働については、実際の時間外の影響も分析して差がなければ満足度で見る、あるいは0時間や15時間以上など外れ値は除外して時間の影響を分析するなどできれば良かったと思います。

5演題目-わかりやすい発表でした。専門の予防は多職種チームが効果的で、介入研究でも効果があると言われているので、ケアバンドルから発展させて、多職種でどんなケアや事業をすればいいのを発展させてみてください。今回のケアバンドルのアプローチ内容を、他職種の連携や管理を含めてより客観的に述べると、他の病院にも参考になると思います。

6演題目-結果の自己効力感のアンケートですが、大事なのは「どんな差か」ということです。口頭発表でも、差だけではなく、何と比べてどっちがいいのか、悪いのかを伝えると分かりやすいです。次に繋げることが必要なので、結果だけ端的に述べるのではなく、考察も含めて次はどうすればいいかということにもアプローチしてみてください。

7演題目-患者さんの課題を解決するために、このアセスメントツールを開発しているはずなので、考察でいま先行研究で言われている課題を整理して、このアセスメントツールをした時の解決法を考察できると、非常に分かりやすかったと思います。

8演題目-確かに5〜10年目は優位ではなかったわけですが、リーダーシップをとるべき方々であり、この方々がスピーチロックしないことがケアの質に影響するということで考察したという話でしたので、そこを書いたほうが良かったです。ただ、スピーチロックの定義は定まっていないので、定義から考えて先行研究からやったのは今後の研究にとても生かされると思います。できれば外に発表して欲しいです。