最新レポート

看護部門の演題が全て発表された後には、座長の叶谷先生から以下のような講評をいただきました。

第12回 看護・リハビリテーション研究会

「今年も、患者さんに回復していただきたいという視点で真摯にケアに取り組んだからこその研究となっており、現場において大切なことをまとめていただいたと感じています。前回、研究は継続していくことが大事なので、テーマを変えずに研究を蓄積していくという考え方でもいいんですよ、というお話をさせていただき、今回は1演題ですが1年半という長期に渡った研究もございました。

竹川病院
テーマや一貫性のところでご質問をいただいていましたが、外出支援ということで介入を行った研究になると思います。毎年言っていますが、介入に関しては「介入について参考にしたい」という方が聞きにくると思いますので、短い発表時間の中でまとめるのは大変かとは思いますが、具体的な介入の中身も説明できるとよくなるかと思います。次に発表するときは、その部分を加えていただけると、わかりやすくなると思います。
西伊豆健育会病院
なかなかユニークな研究だったと思います。看護師の経験年数・キャリアによって転倒転落予防の判断が違ったわけですが、実際に対象者の中で経験した人が何人いたのかの人数が抜けていたように思います。属性を始めに入れるか、途中N数を入れるなどすると、わかりやすかったと思います。経験年数によって経験者は直感で判断しているという気づきはユニークだったのですが、それがいいのか悪いのかが今回の研究ではわかりませんでした。ですから今後、経験者は直感でマニュアル以上のことを気づけている可能性もあるので、今後調査する必要があるなど、課題としてもう少し踏み込んで発表していただけると研究として深まっていくと思います。
熱川温泉病院
スキンテアの研究は急性期病院ではありますが、療養病棟の研究はあまりなく非常に貴重な研究だと思います。ADLが低くても、ご自身で手を動かしてしまったりというような方のリスクが高いということがわかったのは新規性だと思います。同じような悩みを抱えている方も多いと思うので、具体的なケアについて文献をもとに根拠をもって考察できると良いと思います。
石巻健育会病院
療養病棟において看護補助者の存在は非常に重要だと思います。ただ、急性期病院の看護補助者は様々な働き方をしているので、もし看護の大きな学会で発表するときには、研究対象の5病院で看護補助者はどのようなケアに携わっているのか、夜勤をやっているのか等を明らかにすることで、看護補助者がターミナルケアに関わることの重要性を聞き手も理解できるのではないかと思います。
いわき湯本病院
転倒転落についてはこれまでも様々な幅広い研究があるので、過去どのような研究が行われていて、しかし転倒転落が解決できていないので、今回「転倒リスクマネジメント力」に着目したというように説明していただけると研究の目的がわかりやすかったのではないかと感じました。これも介入の研究だと思いますので、カンファレンスの方法なども説明を加えると、聞き手の参考になると思います。
ねりま健育会病院
2施設に渡った研究になりましたが、そのことが研究の分かり難さに繋がってしまったかなと思います。2施設使ったところや、職員の配置に差がないことなど、説明できるとよかったと思います。今回、FIMトイレ動作に着目した根拠がもう少し明確に説明できるとよかったと思いますし、今後は「認知」の項目も検討していく必要もあるということも今後の課題で述べていただくと次に繋がるかと思います。
花川病院
回復期リハビリテーション病棟が対象だったのに、研究テーマに「病棟」となっていて質問を受けましたが、その点は大切なことだと思います。急性期病棟を含めた一般病棟のナースが退院後訪問をしたらどうなるのかということを見たくて今回たまたま標本が回復期病棟だったのか、それとも回復期リハビリテーション病棟で退院後訪問をする意義を見たいのか、というのは全然違うことだと思います。質問のやりとりで、後者だということがわかったので、研究テーマもそのことがわかりやすいように変えると、研究の意義が見えやすく、内容が際立つと思います。退院後訪問はホットな話題なので、退院後訪問の内容について非常に関心があると思います。どのような患者さんに対して、どのような視点で行ったのか、なども発表の中に入れていただけると非常に参考になると思います。

皆さんがそれぞれの病棟で悩んでいることは、日本全国の病棟でも同じように直面している悩みだと思います。ぜひ研究で得られた知見を外部の学会でも発表し、悩みを抱える病院同士でディスカッションをし、高めながら知見を共有していけるよう頑張ってほしいと考えています。」

第12回 看護・リハビリテーション研究会