全発表を聞き、看護・リハビリテーション研究会も8回という回数を重ねて研究のレベルが高くなってきたことを感じ、大変嬉しく思いました。特に各発表において質疑応答が活発に行われ、内容が的を得た質問・よく考えられた回答となっており、これは院内上げて研究に取り組まれている成果であると思いました。
そのような中ではありますが、2点気になったことがありました。
まず1つ目は、症例を対象とした研究を行う際に、色々な要因がからんできます。そうすると、時には研究データとして相応しくないデータも出てくることもあります。ですから、もっとたくさんの患者さんを対象として研究を行い、相応しくないデータに結論が左右されないようにする、もしくは相応しくないデータを除外できるようにすることが必要だ感じた発表がありました。
2つ目は、結果からの考察が、少し粗いと感じる発表もありました。研究結果を大切にして、もし研究で結果が出なかったとしても、その「出なかった」という結果から、また新しい研究がはじまると考えています。研究では、ビジョンが大切です。「この研究は、必ず医療の貢献につながる」という大きなビジョンがあり、それに基づいて仮説・検証を繰り返すことにより、良い研究ができるのだと考えています。ですから、しっかりとビジョンを描いて、研究をすすめて欲しいと思いました。
最後になりますが、特別講演の本田先生のお話には感銘を受けました。私は、ケアで一番大切なことは、患者さんの魂に語りかけることだと思います。そして語りかけるために、なにより重要なのは、ケアを提供する側である私たちの気持ちです。気持ちが無ければいけません。たとえ認知症の患者さんであっても「人の尊厳は平等である」という想いのもと接することが重要なのです。そして、その想いを患者さんにどうやって語りかけるか、伝えるかという方法が、ヒューマニチュードなのだと思います。
ヒューマニチュードは、Vision & Work Together with Smile! の「with Smile」と大きく重なる部分があると思いますし、健育会グループにおいて大いに参考にできる手法だと感じています。明日とは言わず、今日から、今回の講演を参考にそれぞれの病院・施設で取り組んで欲しいと考えています。