Vol.326 手術支援ロボット「da vinci(ダビンチ)xi」での手術を開始しました。

手術中の出血量は、患者さんの状態に大きく影響します。
ダビンチは、拡大視野効果に加え、手ぶれ補正機能も備わっているため、鉗子が全くぶれることがありません。
通常の手術では、どうしてもわずかな手の震えが伝わり、ミリ単位の振動が手術に悪影響を及ぼすこともあります。
しかし、ダビンチ手術では、手ぶれが完全に抑えられ、意図した通りに正確な操作ができるため、出血量を最小限に抑えることができるという利点があります。
また、ダビンチは、通常の腹腔鏡手術で使用する鉗子とは異なり、多関節構造により可動域が広いため、より自由自在な操作が可能です。
これらのダビンチの優れた機能が、出血量の少ない手術の実現に貢献していると考えられます。

湘南慶育病院は、急性期医療とリハビリテーションを提供する慢性期医療を併せ持つケアミックス型の病院です。高度な急性期医療を提供すると同時に、必要に応じて患者さんを速やかにリハビリテーションへと繋げることができる点が特徴です。
今回、ダビンチが導入されたことで、湘南慶育病院が目指す、急性期からリハビリまでを途切れなく提供する「ワンストップ医療」というスタイルを、さらに進化させていきたいと考えています。

ダビンチの導入は、患者さんにとってのメリットだけでなく、健育会グループ全体の経営に対しても有効的な面があります。
開腹手術の場合、一般的には術後3日ほどは創部の痛みによって歩行が困難です。
しかし、ダビンチによる手術を受けた患者さんの回復は非常に早く、手術翌日から歩ける方もいらっしゃいます。
患者さんの回復が早ければ、入院期間の短縮、それに伴う医療消耗品費の削減、さらに病床の回転率の向上に繋がります。ダビンチの導入は、より多くの患者さんを受け入れ、手術件数を増やすことを可能にするという利点もあるのです。

また、ダビンチの導入は、医師の採用という面でも良い影響をもたらしています。
近年、外科医を志望する若者が減少している傾向にあります。
しかし、その中でも、ロボット手術に強い関心を持つ医師は少なくありません。「ダビンチを使いこなしてみたい」という意欲を持つ若い医師にとって、ダビンチの導入は大きな魅力となるのです。
実際に、先進的な医療に携われることを理由に、湘南慶育病院へ赴任してきた医師もいます。
さらに、東京慈恵会医科大学附属病院から2名の泌尿器科医を派遣していただけたのも、ダビンチ導入の大きな成果と言えるでしょう。