Vol.289 自律神経と幸せホルモンについて、講演を行いました

ここで、ストレスについてお話をします。ストレスは外部からの刺激を受けた時に生じる緊張状態のことで、嫌な環境に身を置くなど外部からの刺激以外にも、天候や騒音、不安や悲しみなどによっても生じます。脳がストレスを感じると交感神経が高まって、体の緊張状態が続きます。

現代社会はストレスが多いと言われますが、実は古代人にもストレスはあったことがわかっています。人間が集団で動く限りストレスは必ず生まれます。人間関係によるストレスは、現代社会特有のものではないと私は思います。
ただ、現代人の多くは交感神経が過度に活性化して自律神経のバランスが崩れている状態といっても過言ではありません。しかし交感神経の興奮を抑制するのは難しいため、副交感神経を活性化することに注力をしてください。
ストレスフリーの社会は理想ですが、生きている限りストレスをなくすことはできません。皆さんは経営者ですから、これからも会社が成長して部下が増えれば、ストレスもどんどん増えます。このストレスに打ち勝たなくていけません。
ですから、自分の精神状態、幸せホルモンのバランスがどういう状態にあるか、冷静に自分を分析して、「バランスを取ろう」「セロトニンやドーパミンを出そう」と考えてみてください。これがうまくストレスをコントロールするためのコツです。

しかし、ストレスは必ずしも悪いものではありません。人生における適度なスパイスになってくれます。先ほど「ノルアドレナリンが不足するとうつ状態になる」とお伝えしましたが、ストレスがなさすぎると、交感神経の活性が失われて、気力がなくなってしまうのです。
日本は長い間、戦争がなく平和でのんびり生きてきたため、うつが増えたのかもしれません。これは問題発言かもしれませんが、戦争ではうつだということを言ってる場合ではないそうです。ストレスは人生のスパイスだと考えて、楽しく受け取ろうとすることが大切です。

私は今日、ここに来るまでの車の中で緊張を感じて手の先が冷たくなりました。そこで「緊張して交感神経が活性化している、これは非常にいいことだ」と思いました。緊張によって交感神経が興奮状態になると、集中力が増して非常いい講演ができるからです。最初から緊張もせず、やる気が出なければ、決していいお話はできません。
こうして交感神経と副交感神経のバランスが上手に取れていると、非常に気分が良く、いい興奮とリラックスを感じて、何事も楽しい、何を食べても美味しい、よく眠れるとなるわけです。