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「医療の部」の発表後、座長の西伊豆病院 仲田先生から、以下のような講評をいただきました。

「石川島記念病院」は、心室細動にナースが即応しまして、患者さんが社会復帰までしたという事例でした。心停止に対しての即座の対応は病院スタッフ全員がBLS(Basic life support)トレーニングを受けていないと難しいが、さすが循環器系だと感じました。

「熱川温泉病院」は、急性硬膜外血腫で片麻痺、失語、高次機能障害の患者さんですが、趣味のカラオケをリハビリに取り込んだら、急に本人のやる気が出たということでした。この症例からの教訓は、「本人の趣味をリハビリに取り込め」ということです。リハビリを始める前に必ず患者さんの趣味を聞きましょう。そしてそれを、積極的にリハビリに取り入れましょう。

「西伊豆健育会病院」は、心停止に対して即応し、社会復帰できた症例です。心停止への即応というのは、職員全員のBLSトレーニングが大切です。西伊豆健育会病院ではBLS委員会というのがありまして、地域への普及も行なっています。また1年に1回、AHA(American Heart Association)のBLS講習会も行なっていて、新人職員は全員その資格をとることになっています。BLSのトレーニング、そしてコードブルーがかかったら、多勢の職員で対応することが成功のカギだと思います。

「花川病院」は歩行支援ロボットが本人のやる気を引き出したということでした。実は、ロボット支援時のエビデンスはまだはっきりしておりません。ですから、是非症例を増やしてエビデンスを作り、発表してください。きっと全国の皆さんの参考になると思います。

「ねりま健育会病院」は、中大脳動脈領域の梗塞で徘徊、不安などがあり、向精神薬など当初は使いましたが、傾聴・寄り添い、家族とのコミュニケーションによって患者さんも安定して薬も終了し、自宅退院できた症例でした。傾聴・寄り添いが基本だということです。

「石巻健育会病院」は、視床出血、リウマチによる疼痛に対して、薬剤で痛みをコントロールし、何より傾聴・寄り添いによって、T字杖歩行レベルにまで改善したという事例でした。先ほどの症例もそうでしたが、ここでも傾聴・寄り添いであります。

「いわき湯本病院」は、非ホジキンリンパ腫のターミナルの患者さんにおいて、吐き気が収まるや否や経口摂取を行い、そしてCVを脱したという事例でした。点滴でなく、できるだけ早く経口摂取に持ち込めということです。

「竹川病院」は、ダウン症、そして脳出血で意識障害の患者さんでした。これを声かけとレクリエーション活動によってリハビリに至ることができたわけです。声かけ、そしてレクリエーションの重要性を感じました。

「茅ヶ崎セントラルクリニック」は、87歳でも透析をやめられる例があるということを覚えておいて欲しいと思います。

さて、本日の症例発表から学び取れる最大のポイントは、次の4つです。(1)本人の趣味をリハビリに取り込みましょう。リハビリ開始前に趣味を聞きましょう。(2)声かけ、傾聴、寄り添いは基本中の基本です。近道はありません。(3)点滴はできるだけ早く抜いて、経口摂取に持ち込みましょう。(4)レクリエーションは重要です。レクをなめてはいけません。以上です。