まずミッション(使命)というのは「経営の基本的な考え方、組織が何のために存在するのか」ということです。広く言えば世の中にある組織というのは、全て社会に貢献しなければなりません。厚生労働省の試算では、地域偏在などの問題はありますが、日本は病院が多すぎると言われています。この多すぎるという状況の中で病院グループとして存在するためにはやはり社会に貢献をしていかなければなりません。
「健育会グループがどのように社会に貢献するのか」ということが、我々の使命となります。私は20数年前に理事長に就任したのですが、そのことをまず考えました。そしてミッション(使命)を「光り輝く民間病院グループ」としました。この「民間病院」そして「光り輝く」というところ言葉は重い言葉です。なぜなら、私が理事長になった頃は、病院のランク、グレードというのは公的病院が高く、民間は低いというのが通説でした。しかし公的病院の中には赤字経営で、今でも税金の補填を受けているところも少なくはありません。
かつての国鉄もそうでした。長い間赤字経営を続けていましたが、民営化をしてJRとなり、今では黒字で非常にサービスの良い優良企業になりました。私は病院もそのようにならなければいけないと思います。
高度先端医療をやっても立派に経営している民間病院もありますし、救急医療は健育会グループでも行っていますが、全く赤字にはなっていません。それは我々民間病院が一生懸命工夫をして経営しているからです。私は全ての病院が、そうならなければならないと思っています。そうならなければ、医療が国を滅ぼすことになるからです。医療であっても税金の無駄遣いは許されません。そのような時に頑張らなくてはいけないのが民間です。民間が知恵と工夫で地域の医療を支えていくことが必要なのです。私は理事長就任時にそのような時代が来ると信じて、「光り輝く民間病院グループ」と掲げました。これが我々のミッション(使命)です。