最近では、社会保障でも「民の力を活かす」というのが世の中の流れです。事例にもあったように、健育会グループはかつてより、その先端を走っているという自負があります。とはいうものの、それぞれの病院・施設が地域からちゃんと信頼されていなければ、また住民の方から評価さていなければ光り輝く病院・施設になり得ません。その目標を掲げたのが病院・施設の理念です。
健育会グループのMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)については、全て覚える必要はありませんが、自分が所属する組織の病院・施設理念はしっかりと覚えてください。これはただ覚えるだけではなくて、理解するということが大切です。また、病院・施設理念からイメージする「目指すべき姿」が、働く職員一人一人の中で一致することです。各病院・施設の理念映像を見たことがある人がいると思いますが、覚えるだけではなく、自分たちの病院・施設が将来どのような姿を目指しているのかということを、職員全員が同じ絵を描けているようになることが重要です。これが経営の効率性へとつながります。
一つ例をお話しします。私の知人に、公立病院に勤めている医師がいます。その公立病院は患者さんも多く、外来も朝8時から夕方16時まで行っているのにもかかわらず赤字だそうです。こんなに働いても赤字で、どうしたらいいのか、とその知人は嘆いていました。このような状況になるのはなぜでしょうか。私は働いている職員がそれぞれ勝手に良いと思うことをやっていて、そのベクトルが一致していないからだと思います。目指すものが一致できていないと、すべてが非効率になってしまい経営状態の悪化につながり、結果として赤字となり患者さんに迷惑をかけてしまうのです。
それぞれの施設の皆さんが、施設理念をしっかりと理解して、理念の実現に向かって行動することが「効率的な病院・施設の経営」つながります。