私の挨拶の後、順天堂大学医学部附属静岡病院 副院長の藤田和彦先生による「排尿障害の診断と治療および最近の泌尿器科における課題 ~チームで取り組む泌尿器診療の現状と展望~」と題した講演が行われました。
本日は排尿障害の診断と治療についてお話しさせていただきます。
排尿障害の主な原因は、前立腺肥大症による尿道狭窄と、膀胱の収縮力低下の二つです。
診断では、尿流量検査とともに残尿量の測定が最も重要で、100cc以下が望ましい基準です。残尿が多いと、頻尿や尿路感染症、さらには腎機能障害のリスクが高まります。
前立腺肥大症の治療は、アルファブロッカーによる尿道拡張と、画期的な薬であるアボルブによる前立腺縮小が基本です。頻尿にはベータ3刺激薬が有効ですが、残尿増加や便秘の副作用に注意が必要です。また、ザルティアは排尿・蓄尿症状の両方に効果的ですが、ニトログリセリン使用者には禁忌であるため必ず確認をしてください。
女性の排尿障害には、薬物療法よりも骨盤底筋体操が最も効果的です。
残尿による尿閉は、放置すると生命に関わる危険な状態になります。カテーテル留置は避けられませんが、感染リスクを避けるためにも、間欠的自己導尿への移行が望ましいです。
自己導尿を促す上で大切なことは、患者さんがトイレを自立して行えるか把握をしておくことです。認知機能や聴覚は正常か、どのような姿勢で行っているかなど、患者さんの状態を医師はもちろん、理学療法士や言語聴覚士、作業療法士など、全員で協力して把握する必要性があります。
学会の所定の研修を受け、理学療法士や作業療法士などを含めた排尿ケアチームを作り、チームとしてアプローチしていくことも必要になっていくでしょう。
また、患者さんが様々な薬を服用している場合、どの薬がどのように効力を表しているのかを把握しきれない医師も存在します。処方される薬が正しく作用するかの判断は、薬剤師とのコミュニケーションがしっかりと確立していれば問題なく行われます。
様々な職種による多方面からの視点で、患者さんをしっかりと見守り、正しい判断を下せるようチーム一丸となって医療提供をすることが重要です。多職種での連携を強化し、患者さんのためを思い、負担の少ない医療提供を行う意識付けをしてほしいと思います。

