Vol.350 「第21回TQM活動発表セミナー」が開催されました

審査結果発表の後、審査委員長を務めた長谷川先生から、全体の講評をいただきました。

今回のTQM活動発表セミナーは、過去に取り組んできたテーマを振り返り、再チャレンジするというテーマのもと、皆さんが積極的に活動に取り組んでいるように感じました。働き方改革や最新機器への着手、ケアの質向上など、テーマの端々から社会情勢への対策が反映されているのが伝わってきます。

TQM活動とは、職種横断的にチームを作り、課題を見つけて改善策を作り、検証結果を確認して、歯止めと定着を図る一連の流れを指し、これは「PDCA」と呼ばれます。TQM活動で最も難易度が高いのは「健全な問題意識」です。日々の業務の中で「改善の余地があるのではないか」と疑問を抱き、課題を見つけるP(計画)が最も重要です。

次に難解なのがA(改善)です。課題解決後の「歯止めと定着」は、皆さんが考える以上に難しい業務です。医療従事者は極めて問題意識が高く、課題解決に懸命に取り組むため、短期間であれば目標を達成します。しかし目標達成後、歯止めと定着が行われないと、時間の経過とともに意識が薄れてしまいます。時間の経過は意識を緩ませるだけでなく、患者さんの要求水準も変化させ、最新機器の導入によって過去に取り組めたことが困難になる状況も生み出します。
そのため定期的な振り返りと見直しが重要です。時代や状況に応じて柔軟に対応し、問題意識を常に持ち続けなければ、組織の活性を維持することは極めて困難です。このような観点からも、再チャレンジが今回の大きなテーマだったのではないかと思います。

多くの発表を拝見し、TQM活動の本質を改めて振り返りたいと思います。
まずチーム編成では、できるだけ多くの職種を巻き込むことを大前提として考えてください。感染対策であれば医師、看護師はもちろん、薬剤師も参加させるなど、多角的な視点で取り組むべきという意見が審査員からも指摘されました。
テーマ選定では、TQMとして取り上げるべきか検討が必要な事例が散見されました。「しおさいにおけるインシデント情報の集約」の、入力率の低さはシステム自体の問題と窺え、TQM活動とは別の扱いとすべきと感じました。
目標設定は、業務フローを確立し流れが見えるようにすることを意識してください。「理解が深まった」「意識が向上した」といった目に見えない目標では対策を練れません。目標は業務フローにつながるという基本を再認識してほしいと思います。

業務フローの可視化では、ひまわり在宅サポートグループの「時間外労働削減に向けた対策」が非常に効果的でした。人員不足で時間外労働が増加した中、人員を増やすのではなく業務の仕組み自体を変え、朝夕の訪問時間を避けて業務の集中を防ぐことで、減少した人員でも訪問件数をこなす成果を出していました。ご利用者にどのような気持ちの変化が起きたかまで深掘りすると、より精度の高い発表になったのではないかと感じます。